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「買い物は終わったか?」
「はい、終わりました。 付き合ってもらったお礼にごはんでも御馳走しますよ?」
「いや、いい。 今日はなんだか食欲がないんだ」
「もしかしてあの日ですか?」
「そうなんです? 無理をしてはいけませんよ?」
どういう思考を持っていたら私が生理になるんだろうか。 いや、間違ってはないが。 そんなことより今はこれから深頭をどうするかを考えなければならない気がしてならない。 多分こいつは、あ、いや多分そこまではないだろう。 私たちが帰ると言えば、こいつも普通に帰るだろう。 さすがに家までついてくると言うことはしないはずだ。 変態の域を超えていなければ……。
「あ、そうです。 宿題があったんです」
「やってないのか?」
「はい、少しわからないところがあって。 教えてもらえませんか?」
「あぁ、別にいいが」
「では帰ると言うことらしいので、自分はそろそろ退散しますかね」
「そうか、なんだかんだお疲れ様だったな」
「ねぎらってもらえるだけで疲れなんて吹っ飛びますよ。 ではまた。 学校で」
「学校で?」
何と言った? 学校で? こいつはうちの高校にいないはずだが。 こんな奴見ていたら一発で覚えるほどの変態なのだから覚えていないどころか初対面らしいので違うだろうと言う判断に至る。 いや、まさかな。 転校してくるとか無いだろう。 ……怖いな。 今度直人に聞いておくか。
「さあ、ボクたちも帰りましょう」
「そうだな。 で、今回の宿題ってなんだった」
「もしかして春さんもやってないんですか?」
「大体は出た日に学校で終わらせているからすぐに忘れるんだ」
「春さんて何気に優等生……」
「ただのめんどくさがり屋だ」
両手に紙袋を持った千里から一つ奪い、歩き出す。 申し訳なさそうにしていた千里も次第に嬉しそうに顔を緩ませて歩く。 なんだ、なにがそんなにうれしいんだ。 全然わからん。
「嬉しそうだな」
「だってこれデートみたいじゃないですか」
「デートな……思ってもみなかった」
「酷いですよ~」
その日、宿題は無事終わったが、千里は頭がそんなによくないと言うことを知ってしまった休日の一幕だった。
今日の出来事は忘れてしまいたいくらい変態に囲まれた一日だったなと振り返ることが今日最後に頭を使うことだった。
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