性癖、それは正義であり悪

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 何の変哲もない金曜の午後。 窓際の席を陣取って悠々自適に空を眺めつつ何もしないという楽しいかどうかわからない休み時間を過ごしている。 そんな私は高校二年生になり、所謂中だるみの時期を迎えていた。 そんな五月の中旬の話。 「ん? 春、なにしてんの?」 「見てわからないか? 空を見てるんだよ。 いいぞ、空。 暇な時間を潰してくれるし、なにより面白くない」 「じゃあなんでそれを続けているのかなと問いたいところだわ」  私の名前、春と言いながら話しかけてきたのは友人であり腐れ縁の高橋美咲本人。 なぜか小学校の時からずっと同じクラスで居続けているこいつはもはやいるのが当たり前の状態になっている。  はてさて、私が言いたいのはそんなことではなく、今この状況をどうするかということなのだが……。 その原因はこいつにある。 「春さんなんで無視するんですか~!」 「あぁ、いたのか。 気付かなかったよ。 で、どうしてここにいるんだ。 千里、お前は別のクラスだろう?」 「ほらほら、春はちーちゃんいじめないの」 「ほら~、美咲さんもこう言ってますし、ちゃんと話をですね……」 「話しとは?」 「デートの話を――」 「却下だ」  こういった感じで中原千里(せんり)は何かにつけて私に構ってくる。 別に嫌と言うわけではないが、こうも続くと面倒になってくるのが現実のいいところであり悪いところである。 「はいちゅ~も~く」 休み時間と言っても今からホームルームなわけで、これが終われば私たち学生は帰ることが出来る。 「来週から先生産休入るから、別の先生がしばらく代理担任することになります。 新しく入ってくる先生みたいだから、仲良く礼儀正しくしてあげてください」 「「「は~い」」」 一同はそれに賛同。 かくして、ホームルームの内容はそれだけだったらしく、私たちは皆一斉に鞄を持ち各々クラブ活動なり、帰路に着くなりして、散開していった。
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