性癖、それは正義であり悪

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 さて私も帰ろう、そう考えながら鞄を持った時。 タイミングが良すぎないかと疑うレベルで千里がやってくる。 ついでに美咲も。 なんだこいつらは、エスパー的な能力でも持っているのかと言わんばかりのタイミングの良さだ。 「さあ帰りましょう。 あ、今日からボクも一緒の帰り道ですよ」 「ん? どうしてだ。 まさか引っ越したとか言うんじゃないだろうな」 「そのまさかですよ~。 引っ越しました、春さんと一緒に暮らすためn――」 「ぶん殴ってもいいという判断の元動くがいいな?」 「はいはい、その辺にしときなさいよ。 どうせ冗談だろうし。 春の家に住むってこと以外は」 「実を言うと、隣に引っ越ししたんですよ。 これで念願かなって春さんと登下校を一緒に出来るというわけです!」 嬉しそうに言う。 はて、ここで疑問が出てくる。 こいつはなんで私に構うのか。 まあそれを聞いてもどうと言うことはないので聞くことはないのだろうが、疑問としては持っているのが妥当なのではないかなと。  兎にも角にも帰ることにする。 美咲とは最寄駅まで一緒なのだが、さっきも言ったとおり千里は隣に引っ越してきたらしいので一緒に帰ることになる。 ちなみに私が済んでいるのは最寄駅から徒歩十分くらいのアパートだ。 今通っている多賀道高校は実家からだと遠いからな。 ちなみにが続くが、美咲も別のアパートに一人暮らしらしい。 まだあいつの住んでいるところに行ったことはないが。 「春さん春さん。 今日はおゆはん一緒に食べませんか?」 「却下だ。 夕飯はもう献立をたててある」  電車に乗って早々千里が話しかけてくる。 いや、駅に向かう時も話しかけてきたが、そこらへんは割愛だ。 それよりまずこいつの場合は荷ほどきが先なのではないのかと考える。 引っ越しの話はついさっき聞いたので、荷物の整理はまだ終わっていないのだろう。 「荷ほどきは終わったのか? 終わってない前提で聞くが」 「終わってないですね……。 手伝ってくれますか?」 「報酬によるな」 「報酬はボクのこの身体で」 「飯おごってもらおうか」 「乗ってくれないんですね。 それでも大丈夫です、放置プレイと考えれば気持ちいいですから」  そうこう言いながら電車はアパートの最寄駅へとたどり着く。
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