楽しかったとは、「た」と付く時点で過去になる

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 そういえば、この電車はいつ目的地に着くのだろうかと思っていると、次に止まる駅のアナウンスが流れる。 それに伴って深頭が下りるように促してくる。 ここで降りるのか。 そう思っていると駅が見えてきたので各々荷物を持って席を立つ。 皆大きい荷物を持っているところ、私には唐突に言ってきたと言うのはあながち間違いじゃないのかもしれない。 「ここからはまた車になります。 電車はただ乗りたかっただけなのでご容赦ください」 「はーい」 「そうだな、普通なら移動すべて車でもよかったんじゃないかと言われてもおかしくないからな。 まあ好みに添えたのならそれでいいが」 「ありがとうございます。 ではこちらへどうぞ」  皆で車に乗ると、またゆっくり動き出す。 この車の運転手さんは運転が上手なんだなと運転したことない私が思ってたりする。 雑な運転だと気分が悪くなるからな。 というか本当にこの車は高級と言う感じがする。 リムジンとは違うが、乗用車についている装備にしては全然レベルが違う。 あれか? 専用車と言うやつか? 「欲を出しているわけではないが、四人とも一緒の車でよかったのか?」 「一応この車五人乗りですし。 まず駐車場にスペースを割いてないので仕方ないと言うかなんというか、申し訳ないです」 「気にするな」 「楽しくていいじゃない?」 「悪い気はしない」  それはいいのだが、後部座席のど真ん中に私を置くのをどうにかしてほしい。 深頭が助手席に座っていて、右に美咲、左に千里がいる状態なのだが、千里が私にセクハラするという懸念はなかったのだろうか。 まあ今のところされているわけではないが、せめて美咲を真ん中にしてほしかったところだ。 「着きましたよ。 ここが当家の別荘その一だったかあたりです」 「なんだその曖昧な言い方は」 「もっとあるってことでしょうか?」 「多分そうだろうね」 「その前にだ。 お前らきちんと着替えとか持ってきているらしいが、私には全然その猶予をもらってなかったのだが」 「大丈夫ですよ。 春さんの着替えはこちらで用意してますから」 「女々しいふりふりのとか用意してないだろうな。 あっても着ないからな」 「流石に用意してないですよ。 春さんに似合うのを用意しました」  それを聞いて安心しつつ車から降りると、そこには大きな建物があった。
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