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「ではでは、みさきちここらへんでお暇させていただきますわ」
「おう、また月曜な」
「さよならです~」
美咲を見送り、しょうがなく二人で帰路に着く。 千里が引っ越したのは本当らしく、私が部屋に入る要領でとなりの部屋のドアを開けていた。
「じゃあ着替えたらそっち行くから、先に荷ほどきしてろ」
「了解です~。 ボクも着替えなきゃですね」
何に対しての着替えなきゃなのかはわからないが、おそらく私服にということであってるはずだ。 そう思いながら机に鞄を置き、制服を脱ぐ。 カッターシャツは一々アイロンに当てないといけないのが面倒だなとか考えながらささっと私服に着替えて身支度的な何かをする。 まあこれなら問題ないだろうという格好になったので、さっそく千里のいる部屋に向かう。
「……なんだその恰好は」
「私服です。 良いでしょ? 春さんもこんな恰好しましょうよ」
誰がするか。 千里の格好は文字通り女装、名前だけなら知っている森ガール的な格好だった。 それ一昔前の格好じゃないか? と思いながらも突っ込むと面倒なことになるので、スルー。
「で、どれからやってけばいいんだ?」
「あ、じゃあこれからおねがいします」
言われた通りの順序で荷ほどきを進める。 服、小物、本、その他諸々食器とかな。 そしてすべての荷ほどきが終わったのは午後七時くらいの時だった。 まだ春先だってのに、いや春本番か。 それくらいの時期なのに、こうやって動くと汗かくもんだな。
「汗で服が付いた春さんの格好は興奮します」
「一回脳みそ洗ってこい」
「大丈夫です、洗浄は欠かしていません。 春さんのえっちぃ姿でいつも身も心も洗ってますから」
「一片くたばれよ」
そういいつつも時間が時間なので、腹は減ってくるものだ。 私は献立を考えてあり、尚且つ簡単に作れるものなので大丈夫だろうけどこいつはどうなんだろうか?
「お前、夕飯は準備してあるのか?」
「残念ながらしてないですね~」
「しょうがないから食ってくか?」
「是非! ぜひぜひ! 春さんの手料理食べたいです!」
手料理な……。 そんなたいそうなもの作れないがな。 そう思いながら部屋に招き入れ、夕食の準備を始める。
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