楽しかったとは、「た」と付く時点で過去になる

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 ある程度寝ていたのだろう。 深頭に起こされて目をこすると、横に美咲がいた。 なぜ私に抱き着いて寝ているのかがとてつもない疑問なのだが、私はどうすればいいのか。 あれか、試されているのか、馬鹿にされているのか。 「今何時だ……?」 「十二時ちょっと前ですね」 「おい、美咲、起きろ。 昼だ」 「んふふ……夢にまで見た巨乳……」 「いい加減現実に戻ってこい、それは私の胸だ」  美咲の頭を小突くと小さな悲鳴みたいなのを上げて美咲が起きた模様。 そして現実を見て落胆。 そんなに巨乳がいいか? との問いに静かに頷く。 そんな美咲を尻目に深頭は千里を連れてきた。 深頭いわく別荘で昼食を作るとのこと。 いったい誰が調理をするのだろうか。 全員だと楽なんだがな。 「で、なぜ美咲は私に抱き着く形でいたんだ?」 「ちーちゃんがセクハラしようとしてたから予防策でって感じ?」 「ほう……」 「濡れたシャツのしたに見える水着って興奮しません?」 「と言う考えで私に海水をかけようとしてたのか、寝てたのにか」 「やめましたけどね」  なら問題ない。 そう言いながら皆で階段を上って別荘に戻る。 で、誰がつくるもあるが一体何を作るのか。 聞くところによると、焼きそばを作るとのこと。 ちなみにちゃんと聞いたが、包丁をまともに使えるのは私と美咲が多少、千里がお任せ下さいとのこと。 多分あれだな、私がほぼすべてすればいいんじゃないかと言う結論に至りかけているわけだが。 「食器は洗って……無いだろうな。 深頭」 「はい」 「食器を洗ってくれ。 美咲は箸とかコップとかの準備」 「あいさー」 「千里は私が食材をきざむからいためてくれ。 もしかしてだが、食材がないとか言わないよな? これだけ海に準備があったわけだし」 「大丈夫ですよ。 数食考えてそれに必要な食材は用意してありますので」  なら大丈夫だ。 さっき指示した通りの内容で作業を進めていく。 食材は良く見ればいいものが多かったと言うか、最高ランクの物ばかりだったので、逆に使ってもいいのかとためらうほどのものが多かった。 それと、一つとても疑問に思ったものがある。  「なぜ世界三大珍味があるのか……」 「一応です」 「絶対使わないからな」
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