性癖、それは正義であり悪

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 出来事の本文は今日、土曜にあった出来事になる。 今は午前九時。 土曜の休みなので少しゆっくりダラダラしようと考えながら二度寝を満喫している時間帯だったのだが……。 「春さん春さん。 お出かけしましょう」 「……」 「春さん? デートしましょうよ~」 「……」  千里の相手をするのが唐突に面倒になったので寝たふりを決め込む。 しかしこいつがどういった存在だったかを忘れていたのか、甘く見ていたのかわからないが、布団に潜り込んできた、ので蹴飛ばしておいた。 「痛いですって、痛い痛い」 「仮にも女性の私の寝込みを襲う代償は大きいと思わないのか?」 「起きてるのわかってたので、誘ってるのかなと思いまして」 「そういったことが過去あった経験は?」 「ないですが、前例ですべてを決めてもしょうがないですよね」  こいつにはなにを言っても無駄なのかもしれない、そう思う傍ら千里は鏡に向かう。 おい、仮にもここ私の家だぞ。 勝手に徘徊するんじゃない。 そう言う間もなく気づくが、また女装だ。 本当に好きなんだなとか思うが、もう突っ込む気力は無いのでスルー。  しかし、起きてしまったな……。 また寝るにも目がさえてしまったのでそれは出来なさそうな感じだ。 仕方ない、着替えてこいつのお出かけに付き合うか。 こう流されるあたり私は案外簡単な女なのかもしれない。 「さて、一旦出てけ」 「なぜです?」 「着替えるんだよ、それもわからない奴とは出かけないようにしないとな……」 「あ、出ます出ます。 本当は春さんの生着替え見てたいですけど」 「本音を隠すと言うことをしないのか?」 「本能には正直な主義なので」 「そうか、なら一層注意を払わないといけないな」  千里を追い出し、着替える。 さて、何を着ていこうか。 千里に合わせて男装みたいなのでもいいが、いかんところ胸だけ一丁前にあるので、どう見ても女性に見えるところ、男装の意味無いのだろうなと考えるが、思えばサラシとかあるんだよな。 今度調べてみるか。 今日のところは無難な格好でいいだろう。 シャツと薄いジャケットと黒ジーンズ。 こんなものだろうか。 よし、準備完了。 で、あいつはどこに行こうとしてるんだろうか? 聞くのを忘れた。 「用意出来たぞ」 「じゃあ行きましょうか」 「どこに行って何をするんだ?」 「とりあえず、服を見たいんです」
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