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「想像はついているが、女物なんだろう?」
「御明察です。 というか、ボクに男物に合わないですし、そもそもサイズが合いません」
「小学校高学年の格好なら大丈夫だろ」
「遠まわしに貶してます?」
「何を言う、褒めてるんだぞ。 リサイクル的な意味で」
「それ貶してる!」
他愛もない話だな。 日常とはこうも平和であるものなのか、そう哲学的な発想を思いつくあたり、私は変な人生を送ってきたように見えるのだろうが、別に特別変わった人生を送ってきたわけではない。 しかし、人と少し違うところがあってこそ人間というのではないだろうか。
電車に乗った時である。 千里がそわそわしだした。 何だ、こいつはまた変態じみたことを考えでもしているのだろうか? とりあえずこの場はスルーしておくと後々面倒そうなのでちゃんとしてみる。
「どうした」
「いや、痴漢プレイも良いなと少し考えてしまったもので、少し興奮してるんですよ」
「ん、上方置換か下方置換かってところか? 理系男子だったんだなお前」
「理系じゃないです文系です。 しかも漢字が絶対違うので意味も総じて変わってきますよ?」
ちゃんとするといったな、それは嘘だ。 絶対変な方向に行くと確信したのでボケて話しをそらしておいた。 これが私にとっての正解なんだろう、多分。 千里はふてくされてそっぽを向く、と思ったが違ったようだ。 私の顔をじっと見つめて、顔を赤らめて背ける。 なんだ、私に欲情してもなにも帰ってこないぞ。
いや、違うな。 何かがおかしい。 普段こいつは変な事を散々言うが、今回は違う。 なんだ? 何をしてるんだ? ナニとか言ったら殴るがな。
「どうした」
「ぁの……、後ろ……」
後ろ? お前のか? お前の後ろに一体何があるんだ――
「あら、なに?」
「いやいやいや」
そこには一人の女性。 しかしおかしいのはそいつの手の伸びている先。
千里の尻をまさぐっている
おい、これを一体どうしろというんだ。 なんだ? 私は試されているのか? まあ、どうしてもこうしても時間は進むものなのでどうにかするしかないんだろうな。
「そいつ男だぞ」
「あら、なおさら好物」
あっこいつ変態だ。
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