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「もうやめようぜ。終わったことだし」
桜の花弁は既に散り、名残として地面にはその何片かが泥にまみれて沈んでいた。俺も相方もそれをじっと見つめていた。
「なぁ」
「ん」
「俺達このままテニスやっててもうだつが上がらない気がしねぇか」
「朝から晩までテニスのことばかり喋りまくってるお前が、そんなこと言うなんてちょっと意外だな。部活を辞めるってことかよ」
相方は肯定とも否定ともとれるような頭の振り方をして返した。
「この一年、なんつーか充実してたよ。朝練やって、夜は自主練して、昼休憩までお前と二人で練習したよな」
相方は泥に沈む花弁を見つめている。
「これだけやってダメなんだってんだから、な」
そう言って相方は空を仰ぎ見た。俺もその視線を追う。爽やかなブルーだ。
「確かに、もう負けるのはうんざりだ」
「だよな。こうも報われないと投げ出したくもなるぜ」
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