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「おぅ!はよ、かが。」
「おはよう、かが君。」
「………………はよ、学。」
目を合わせずに呟く。
こいつはまあ…いろいろとややこしい。
「涼?涼ちゃん?今日も先に学校行ってくれちゃいましたね?」
「…………。」
「無視ですか、コノヤロー。お前はいつも危なっかしいから一人行動するなって言ってんだろ!?」
「危なっかしいって…いつの事だよ。
もう見分けは出来るって言ったはず。あんたの世話いらないっての。」
そう、幽霊が見えたばかりの私は人間と幽霊の区別がわからずにいました。
おかげで多数の被害にあっていたのです。
今にも川に落ちそうな所に立ってる人や道路真ん中に佇む人など。
幽霊なのに人間だと思い込んで助けに行ったり、話かけたり。
触れる、声も聞こえるから本当に困った日々でした。
学はそんな私を守る?ために一緒にいてくれました。
今はもうそんなのいらないんです。見切れてきたので。
でも学は信じてくれません。
ってかそれは表の理由。
本当は別にあるんです。最低なことに。
「学…何度も言ってるけど、私と一緒にいたってあの子に会える確率は大きいわけじゃない。あんたのくだらない願いは叶えられないんだけど。」
「!?……そんなんじゃない…。」
嘘つきめ
こいつには好きな子がいました。
過去形なのは、その子がもう死んでいるから。
半年前、学はある一人の少女に告白されるはずでした。
少女は学の好きな人でした。
放課後、少女は学を定番の屋上に呼び出します。
告白され、学と少女は付き合うようになりハッピーエンド。
…のはずでした。
学は屋上に来ませんでした。
少女はぎりぎりまで待ちました。
待ち続けました。
学は来ませんでした。
振られたと思った少女は泣きながら帰ったのでしょうね。
帰り道、交通事故にあいました。
葬式には同じクラスの者(私も含まれる)と学の姿。
泣きながら拝む姿は、今にも壊れそうでしたね。
その時の私は、まだ事情は知らなかったので哀れくらい…まあどっかで会ったら話の一つでもしてやろうくらいしか思っていなかったんですね。
あ、いたよ
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