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【観光ガイドの女の子】
フェアリー・ヨー
欠伸して
関廟に花を供えては
「今日も良いカモお願いします☆」
くるくると動く蜂蜜色の
目で客の心を甘く溶かして
「ねえ、ムッシュー」
「ねえねえミスター」
「ねー、オニイサン」
にっこり笑って日銭を稼ぐ
父親はお船に乗ってやってきて
お船に乗って帰っていった
きっとそう、イギリス紳士が
会いに来て ママにそっくりだって驚く
海色のチャイナドレスを翻し
岬に立ちて船を数える
「ねえ僕の父親はきっとイギリス人」
写真すら無く 母も亡き今
「そっか、そんな髪だな」
湯気越しに
ルパンがいうから
少し笑えた
「ねえ、客を、連れてくるから
お駄賃をくれないかなあ?」
「現物だがな」
「女の子買えるところに連れてって。
なんなら君でもいいけどさ、ほら」
札束を握らせて腿に手を這わす
豚に似た鼻息する男
「ねえ僕のオススメ
小籠包はどう?」
荒い息する男に囁く
ルパン、『F』小籠包を
お願いね
弱めでいいよ
今日のところは
「さあどうぞ。
オツユがたっぷり溢れちゃう
ヤケドしたって 僕知らないよ♪」
「女の子ナメんなよ!
これは授業料」
紙幣一枚 ひらり抜き取る
痺れてる
白豚男をちょんと突き
フェアリー
ルパンに手を振り笑う
包丁を
ジェラルミンケースに
寝かせつつ
捌いた河豚の身を処理しゆく
フェアリーは
毎日毎日船を見て
イギリス人の客を
待ってる
ー優輝(蛙)ー
フェアリー・ヨー
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