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【バーのピアノ弾き】
ショウ・ガーディンの場合
「古いけど 悪くはないわ」
ピアノ撫で 酔客の耳を再び酔わす
感情はピアノに全部託すから
足りないくらいがいいと呟く
その汚い 手で触るな
と珍しく大声あげた
日もあったそう
自身では
なくすり減った
象牙色めいた鍵盤
汚されまいと
「とても良く似た演奏を知っている」
とある紳士が指すピアニスト
有名な指揮者が連れて七海を巡った黒衣の貴婦人でしょう
「そうですか
人違いです」
質問を
打ち切るように
リズムを刻む
ピアノ哭く
そんな夜 には
思い出に
蓋をするよう
鍵盤に伏す
闇色のドレス
緋色の彼岸花
指の傷跡
それもまた華
ー岡田 朔ー
ショウ・ガーディン
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