第1話 紅つばき

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女の子らしく、落ちて来る花弁の中でも、特にキレイなものを選んでレイを作っているようだ…。 誰かに上げるのか? 出来上がりのレイをビニールの袋に大事そうにしまった。 何本か出来上がり、最もお気に入りのレイを自分の胸にそっと飾った。 その時、はじめて女の子が笑った。 ……かどうかは、確信がないが、 一瞬、横顔が笑った!気がしたのだ…。 レイの深紅が頬に映えて、とても美しく大人に見えて… ドキッとした! 笑顔の見えない子どもは寂しい。 何かをきっかけに自然に、こぼれる笑顔を見せてくれるのはうれしい。 だが、この場合はどうなんだろう? そんな大人の心理状態などおかまいなしに、 女の子は走りながら、細い道を帰って行った…。
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