第1話 紅つばき

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【十ー】 またつばきの花が咲く季節が巡り来た…。 年々聞こえてくる噂も少なくなったが… こうして、満開の花が咲いたつばきの木を目の当たりにすると… 心がざわざわし出すのをどうしても止められずにいた…。 数日後の朝 散歩がてら見回りをしていた時、例のつばきの木の下に何かうずくまっているのを、見つけてドキッとした。 近付いてみると、女性がうずくまっていた。 『どうかしましたか?』 初めて女は顔をあげた! 『あなたは…』 (あの女の子にそっくりだ!まさかあの子の母親!?) 『私は、この神社の管理者、怪しい者ではないから安心して……』 「すみません…。つばきが綺麗なので眺めていたら、持病が急に痛み出して…」 女の言うことに嘘はなさそうだ! 考えた挙げ句、社務所で休むように勧めた…
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