第1話 紅つばき

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多少人の往来はあったが、神社の境内を通り抜けるのに、おしゃべりしながら行くのは希である。 特別な神事がない平日は、境内の管理(見回りや掃除)に時間を割いた。 別に与えられた仕事ではなかったが、なるべくやるようにしていた。 もちろん宮司としての決まった仕事をこなしてはいたが、社務所の中ばかりでは息苦しい…。 その頃、私は独身で非常に若く人恋しい気持ちが強くなっていた…。 誰かと何気ない世間話をすることくらいは、許されてもいいだろう…。 そんな思いもあった。
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