この恋は春風に抱かれて…

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見つめ返されているのではないかと勘違いしてしまうほどじっと…。 「もみ上げはこんな風に長めがいいですか?」 みぞおち辺りが苦しい…。 「任せる」 ダメだ…。好きになりそう……。 僕は鏡から視線を外し、シザーを動かす右手に集中しようとこころみた。 「では、仕上がり具合で決めますね」 後ろを整え終わり、前髪を切ろうとクリップを外した。 長めがいいか、短くスッキリさせるか…。 逡巡しながらセニングでカットしていく。 (失敗したな…。もう少し後ろも長めにすればよかった。前髪といっしょに流すようにセットして…。)
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