流れ星

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[ありえたかもしれない小話] *足掻みようと思う幸。 ☆月◆日。 今日も空は快晴。 頬を撫でる風は硝煙と血の臭いを運び。 足元に咲いていた花は、誰かに踏みつけられていた。 昨日と空は何も変わらないのに、その下はどうだ、人の怒号や喧騒、悲鳴、銃声、爆発音と戦争地獄フルコースじゃないか。 おばちゃん、もうお腹一杯だよ。お代わりも替え玉もNO Thank youだよ!!ちっくしょーう!! なんて、地団駄を踏んでみたけど。周りには、私のバカに突っ込む声も、呆れた顔も、無い。 そうだ、私は一人だったんだっけ。たったひとり、独りぼっち。 自分で選んだんだ。後悔は…無い。 きっと此処が、私の死に場所になる。 ふと、あの補佐役だったモブを思い出した。 あのモブは何を思って死んだのだろうか。 恐くはなかったのか。 …きっと恐かったのだろう。 「はぁ…イヤになりますね。ホント」 思考というものは実に厄介なものだ。考えたくも無いのに、ついつい色んな事が巡りに巡って。 私は、最期には笑っていようと決めていた。終わりの時ぐらい、せめて笑顔でと。 でも私は人より少し、ほんの少し、泣き虫だから。 両の目からボロボロと温かい雫が、こぼれ落ちる。 身体の震えが止まらない。みっともないなぁ。 思わず空を見上げた。 どこまでも青く、澄んでいた。綺麗だった。 唐突に、皆の事が頭に浮かんだ。 私の話をいつも聞いてくれた、少佐。 怪我をした時に、手当てをしてくれた。…それから、やる気無さそうに、親切に本を取ってくれた中佐達。 王様と…私に何時もつき合ってくれた従者の二人。 私の大切な、只一人の…親友。 …この空の下、私の仲間は確かに生きている。 生きているんだ。 身体の震えが止まった。 こんな屑みたいな私の、命一つで誰かが笑顔になる未来が作れるなら。 それだけで、笑って死ねる。 そうだ、それで充分。 前を見据える。もう、私は大丈夫だ。 瞳から涙は出なかった。 「こっからが、私の戦場です」 口元を緩ませて、戦場へと駆け出した。 さぁ、大好きな皆の為の戦いを始めよう。 ───────── 抽象的だけど、幸と以前絡ませて頂いた、役職持ちの方々をお借り致しました。 この死ネタの章も、次ページぐらいで終わりです。 あとちょっと、お付き合い願います。
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