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(おめでとう、その一言すら、言ってくれない)
今日はボクの誕生日だ。
きっと母はそんなことも頭には浮かんでいない。
だって母のボクを見る目はあまりにも、蔑む目だ。
まるでゴミを見ているようだな、そんな感想が出るような目付きで、母を呼び止めたボクを見る母。
「あ……なん、でも…ないです……」
何を期待していたのだろう。
母は昔から、今も変わらずボクを人として…自分の子として見てきたことはなかったじゃないか。
(分かっているのに、)
(今更だ、だけど)
それでもボクは、今日くらい何か変わるんじゃないかって…毎年思ってしまう。
その度に絶望の底へと叩き落とされるのに。
どこかでまだ、ボクは母を好きでいるのだろうか。
おかしいな、ボクも母を母だと思わないようにしてきたはずなのに。
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