募る想い

12/28
前へ
/28ページ
次へ
深夜。 眠れず寝返りを繰り返す。 いい事の後は、少し不安になる。 夜の闇が、余計な気持ちを呼び覚ます。 恋をすると不安になるのは何故だろう。 ときめく心と背中合わせに張り付き、隙があれば入り込もうと様子を伺う。 一度不安に気が付いてしまうと、もう逃れられない。 不安は不安を呼ぶ。 何を恐がっているのだろう。 カーテンの隙間から差し込む月明かりが、闇をほんの少し明るくしたとしても、夜は消えない。 熱くなりかけた心が醒めてゆくのを感じながら、 問い掛ける。 これは本当に恋なのか…と。 誰かに触れられたい。 誰かに触れたい。 アイツでない誰かに。 梅雨入りしたはずの空に月が浮かぶ。 乾いた心に降る雨が欲しかった。 子供が親の気を引くために、わざと悪戯をするような…。 そんな気持ちに似ているのかもしれないと…眠りの淵で感じていた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加