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仕事帰り、いつもの様にジムに向かう。
今夜も走ろう。
アイツに会える事を少し期待している自分と、会えたところで何になるのか、と醒めた自分。
驚く様な出来事は、ドラマや物語の中の話しであって、大半は毎日区別のつかない日々の繰り返しなんだ。
(今日は醒めてるな…)
自分の思考に苦笑いをしながら、ジムのドアを開けた。
レセプションに先客が一人。
黒の大きなスポーツバックに見覚えがある。
このまま行けばきっと、声をかける事が出来るはず。
そう思いつつ、躊躇してしまった。
立ち止まる。
タイミングをずらしレセプションへ向かう。
すれ違うこともないだろう。
ため息をついた瞬間、アイツが振り返った。
目が合う。
「こんばんは…」
咄嗟に挨拶をした。
アイツは挨拶を返す事もなく、会釈をする訳でもなく、まるで知らない人を見る様な視線だけ送り、
更衣室に消えた。
(な…に?あの態度)
まさか無視されるとは思わなかった。
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