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児島さんに会いたい。
なのに、
好きになった途端、臆病になった。
手も足も出ない。
繋いだ手の温かさはまだ残っているのに、その記憶はまるでシャボンの様。
頼りなく漂い、すぐ消えてしまいそうな危うさ。
消えてしまわないうちに、もう一度触れてみたい。
今まで、
触れ合う事の意味など深く考えなかったのに。
恋は苦手だ…。
人の気持ちがこんなに気になるなんて、どうかしている。
だから……
恋は苦手だ。
こんなに便利なメールさえ、使いこなせなくなる。
鳴らない携帯が恨めしい。
待つだけの時間はスローモーションで…。
だから、
だから、
恋は苦手…だ。
▽▽▽
月曜日、「ズンバ」
とやらのレッスンに出るためにジムに来た。
スタジオの入り口で名簿に名前を書く。
すでに何名かの名前が書き込まれていた。
『児島』
の文字に、
顔が熱くなった。
情熱的なラテンのリズムが響いている。
照明を落とした薄暗いスタジオ。
鏡に映る、アイツの姿を見つけた。
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