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目が覚めると、隣にあげははいなかった。
いつものことだ。
いつもと違うのは、自分を起こしに来なかったことと、台所から味噌汁の香りがしないこと。
家のどこにもあげはの姿がなかったことだ。
「何を考えとるんだ、あのバカ嫁は! どこに行ったんだ!? 岡島の家に入ったクセに、家に泥を塗るような真似をして!!」
「ええか直弘、お前から迎えになんて行かなくてええぞ。なかなか子供産まんし、あんな嫁、儂は最初から反対だったんだ」
「もっと良い嫁をもらえ。離婚しろ」
烈火のごとく怒り狂う両親に、直弘は何も言えなかった。
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