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3時間前
「なあ、指切りって知ってるか?」
唐突に話題は振られた。
突然話しかけてきた彼は金田啓一、私の親友でありテニス部の部長でもある。
噂好きな面があり、この間も運気が上がるからと髪をショートに切ったほどである。
私の名前は古井新也、平凡と自負しているが周りからは「シスコン」だの「冷血漢」などと、実に不名誉な称号をもらっている。
「で、新也はどうなんだよ?指切り、知ってんの?」
啓一とは幼い頃から一緒にいた、所謂幼なじみである。
「おーい、新也~。」
親友の声に、私は思考を中断し意識をそちらへ向ける。
「指切り…あの、約束事とかにするやつか?」
啓一は大袈裟に頷くと、身を乗り出して語り始めた。
「最近噂になってるんだよ、[指切りの霊]ってのがさ。旧校舎の小等部3-Bって教室があるんだけど、その教室で放課後に六人同時で指切りをすると異世界に連れてかれるらしいぜ。」
どうせ、根も葉も無いような噂なのだろうと肩を竦める。
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