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~ルルside~
カップにお湯を注ぎ、丁寧に運ぶ。
「お茶…できたよ…!」
安定感はなく、危うくカップを落としそうになるが、なんとか持ちこたえた。
「ありがとう、ルル」
キヤがほほえむ。
キヤが笑ってくれるだけで、こんなにも幸せになれるのだから不思議だ。
私も、つられてほほえむ。
なんてことのない、いつもの日常。
だけど、そこはとても幸福で満ちていた。
「あの…ね?」
「ん?なんだ?」
「これ…あげる!」
「え…?」
私の手には、一輪のマーガレット。
庭で、今日摘んだものだ。
今年は雨が少なかったけど、みんなキレイに咲いてくれた。
なかでも、マーガレットが。
差し出した手に、汗がにじむ。
キヤがどんな表情をしているのか見るのが怖くて、思わず閉じてしまった目を開けられない。
こんなもの、きっと都会にはたくさんあるのだろう。
迷惑…だったかもしれない。
そうは思うものの、いつも私に尽くしてくれる彼に、何かしたくて。
感謝の気持ちを伝えたくて。
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