少女は、まるで。

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「…なんか、…寒いかも」 ふと暖炉を見ると、とっくに薪は燃え尽きていた。 「とってこなきゃ!」 家を出ると外はもう暗くて、道は月明かりで照らされていた。 私は、月が好きだ。 なぜだかはわからない。 でも、月明かりに照らされていると、なんだか落ち着く。 まるで、お母さんにでも包まれているような、そんな安心感がある。 お母さんなんて、いないのにね。 月に思いをはせていると、勢いよく風が吹いてきた。 「…っ!さむっ!」 急いで、薪が置いてある倉庫へと向かう。 ガサッ 後ろに何かいる…? 猫だろうか。それとも犬? いや、もしかすると熊かもしれない。 怖くて、泣きそうになるが、思いきって草をかきわける。 「ルナ…?」 そこにいたのは、不思議そうにこっちを見ている、少年だった。
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