少女は、まるで。

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~アキラside~ 「ルナ…?」 目の前にいるのは、確かにルナだった。 金髪の腰まで伸びたまっすぐな髪が、風で揺れる。 そして、月の光によって輝きを放つ。 「ルナ…!会いたかった!」 ルナの方に一歩踏み出したその瞬間。 「ち、違います…!」 …え? 今、なんていった? だって、目の前にいるのはたしかにルナで、でも違う? 「もしかして…双子?…おい、おまえ双子のルナっているだろ」 「い、いません!」 そういう彼女は涙目で、少しきつい言い方をしてしまったかも、と反省した。 沈黙が続くと、少女は落としたランプを拾い、走り出した。 「あっ、おい!」 追いかけようとするが、さっきまでの月明かりはまるで幻のように、すっぽりと雲におおわれてしまった。
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