第一章 独占欲

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「同棲は出来ない。少なくとも今は無理だ。」 「なんで。」 老齢のちぃのこと、なにより俺自身のトラウマのこと。 宮の前に数年同棲した女性がいたが、結局お互いの未熟さから関係を解消した。 別れた時は、すっかり疲れ果てていた。 それらをゆっくり繰り返す。 「無理なんだよ。いいじゃないか、俺は今のままで十分だよ。ちぃのことでそっちに泊まれないのは悪いけど。」 「そんなこと言ってないよ。」 少し寂しげな表情を見せられ、心が痛む。 解らなくはない。 日がな一日ただまったり過ごす贅沢を、俺だって少しは憧れる。 でもそれは、幻想だ。 動き回るのが好きな俺には、そんな生活似合わない。 多分、持って一週間。
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