第1章

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「俺たちも行こう」 僕は真夏の手をとった。 体育館は徒歩で十分くらいの場所にある。小学校の隣りなので、僕にとっては通い慣れた道だ。 真夏の歩幅に合わせてゆっくり歩いていると、人や車の数が増えはじめているのが分かった。でも、大きな混雑にはなっていなかった。 「体育館は海抜38メートルなので大丈夫です! みなさんこのまま避難して下さい!」 先ほどと同じように、大学生くらいの男がハンドマイクを持って、避難する住民に声をかけていた。 よく見ると同じような学生たちが交通整備をしていた。 交番の前で、ぞろぞろと体育館に向かう一行を見ていた警官が、目を丸くしていた。
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