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志穂さんは週のほとんどを、僕のアパートで過ごすようになった。
キラーの気配は、僕たちの周りから消えた。
彼女が僕のそばにいるのがその理由であるのならば、もうキラーには怯えなくてよいのかもしれない。
ところで、僕の会社の社員に対する姿勢が変わった。
入社して初めて、僕は5月の連休をとる事ができている。
理由は人的流出を防ぐことが目的らしいのだが、後輩の鈴木は約半月前に会社を辞めている。
「ふふふ、清治さん、また箸が止まってるよ」
想像とは違い、志穂さんには家庭的な面が多かった。
鼻歌を歌いながら、朝ごはんを作ってくれる。
幸せそうな顔をして、洗濯物をベランダに干して、楽しそうに掃除機を使っている。
千夏のことを志穂さんに話した。
由利香のことも全てを話した。
その日志穂さんは1日中泣いたのだけれども、夜には赤く目を腫らしたまま、僕の腕の中で、静かに眠った。
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