溢れ出る嫌悪

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かすかな音。ナースコールだ。入り口からだいぶ入ってきたから、ナースステーションから聞こえてくる音は小さくしか、彼女の耳に届かない。 それでもナースコールであることは間違いない。長年、この病院で働いている彼女が聞き間違えるはずはないのだ。 「どこ?」 ナースステーションに行かなければ部屋番号はわからない。急いで来た道を引き返す。 302と表示されていた。 「岩倉さん」 この病室は彼女が主に担当していた。だから岩倉の様態もよくわかっている。ナースコールをされたと言うのは相当なことのはずだ。 彼女は岩倉の元へと向かった。
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