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小学生たちは少し考えた。どこから話そうとか考えたのだろう。
「うーんと、仮面ライダー鎧武って知ってる?」
名前くらいは知っている。ただ、具体的にどういうものなのかは、巡査にはさっぱりだった。
「名前くらいはね」
「なーんだ。ダサいの」
体格のいい方の小学生が言った。
「ダサくないの。大人だから仮面ライダーとか見ないの」
「えー、うちのお父さん見てるよ」
それは子どもが見てたら、親も一緒に見ざる得ないだろう。そうは思ったが、それを小学生に伝えて何になると言うのだ。
「そうなんだね。で、その仮面ライダーがどうしたの?」
「これ、これ」
小学生が手元に出したのは、何枚ものカードだった。
ー仮面ライダーカードかー
巡査も子どもの頃集めていた。少し懐かしい気分に浸りながら、そのまま話を聞いた。
「これでさ遊んでたら、すげー風が吹いてさ。な?」
「うん、すごい風だったよ」
「それでカードが飛んでっちゃったんだよ。それでカードを追いかけてきたら、この変なのがあったの。な?」
「そう、あったの。なんかキモいから、この棒で突っついたりして」
小学生は棒を見せてくれた。
「そうなんだ。でも、もう、そう言うことは止めた方がいいかな?」
「なんで?」
「お巡りさんは思うんだけど、これ、動物の死体か何かじゃないかな?そしたら、君たち病気になっちゃうぞ。触ったりしたらね。痒かったり、気持ち悪くなったりして大変だから、もう止めるんだ。いいね」
「えーーーマジ?!そんなのやだよ」
「今日は家に帰ったら、たくさんうがいして、きれいに手を洗うといい。いいね」
「うん、わかった。ありがとう、お巡りさん」
最後は子どもらしく挨拶をして、ふたりはその場を離れていった。
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