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仕事も少しずつできるようになり、前までの生活に戻った。
でも、記憶は相変わらず戻らなくて、何を忘れているのかもわからなかった。
私の心は寂しいままだった。
長野くんとメールしたりして、長野くんのことを考えているときだけは心があったかかったので、救われていた。
長野くんもコンサートがあるからと、リハとかで忙しくしているみたいで会えずにいた。
私は、寂しさを仕事で紛らわせていた。
ある日仕事を終わらせ、帰っていると、電話がなった。長野くんからだった。
『もしもし』
『さちちゃん、俺だけど、今いい?』
『うん、仕事が終わって帰ってるとこだから』
『そっか、じゃあ今から用事ある?一緒にご飯食べない?』
『うん、食べる』
『じゃあどこ待ち合わせがいい?もう家に着くなら迎えに行くけど』
『あっ、もう家につくけど大丈夫。お店の場所教えてくれたら行くから』
『実はもうさちちゃんの家に向かってるんだ、迷惑だったかな』
『ううん、うれしい。ありがと』
『じゃあ着いたら連絡するね』
『うん』
(長野くんが迎えにきてくれるなんて、会えるのすごくうれしい)
家に着くと、身だしなみを整え、服はどうしようと考えていた。
(久しぶりに会うから服変えた方がいいかなぁ でもあまり気取らない方がいいか)
そうしていると、メールを知らせる音がした。
長野くんから着いたというメールだった。
私は急いで外に出た。
そのままの服だったが、早く会いたかったし、待たせるのがいやだったから。
長野くんの車に向かって走っていくと、扉が開き、そこからは、あの笑顔の長野くんが出てきた。(長野くんだ…あぁやっぱりほっとするな、この笑顔)
「さちちゃん、お疲れ」
「うん、長野くんもお疲れ様。迎えに来てくれてありがと」
「うん、じゃあいこっか」
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