第1章

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それから、看護士さんが医師を呼んできた 「柊さん、少し質問しますので、答えてください。わからなければ、そのように言っていただければいいですので」 「はい…」 医師は名前、住所、年齢や家族のことを質問してきた。 私は聞かれるままに答えていった。 (なんでこんなこと質問されてるんだろう…) そして、医師は、 「では次に、あなたにはつきあっている方はいますか?」 「えっ!何でそんなこときくんですか?」 「おられなかったらそのように答えてください」 「………いません、そんな人」 「そうですか」 医師は看護師と顔を見合わせ、何か話していた。 「あの、どうしてこんなことしたんですか?きちんと説明してください」 私がそういうと、医師は言った。 「ご家族と話してからの方がいいかと思ったんですが…」 「今言ってください」 「では、お話します……柊さん、あなたは部分的に記憶がなくなってるようです。事故の後遺症だと思われますが、すぐに思い出すときもあれば、ずっと思い出さないときもあります。」 「えっ!!」 (どういうこと……) 私は、信じられなくて混乱していた。 そこに、誰かが入ってきた。私の両親が心配そうな顔をして私に近づいてきた。 「さち、よかった…」 「お父さん、お母さん、心配かけてごめんね」 「無事でよかった…」 お母さんは泣いていた。心配かけていたという申し訳なさはあったが、部分的に記憶を失っていると知ったばかりで、微妙な気持ちだった。 「あの、先生。私は何を忘れてるんですか?」 「それは、自分で思い出した方がいいと思います。私が今言っても、記憶がついていかないとつらくなると思いますので… 柊さん、すぐに記憶が戻るかもしれませんし、様子をみてみましょう」 そう言って、先生は病室をでていった。 (私は何を忘れてるんだろう……)
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