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それから、看護士さんが医師を呼んできた
「柊さん、少し質問しますので、答えてください。わからなければ、そのように言っていただければいいですので」
「はい…」
医師は名前、住所、年齢や家族のことを質問してきた。
私は聞かれるままに答えていった。
(なんでこんなこと質問されてるんだろう…)
そして、医師は、
「では次に、あなたにはつきあっている方はいますか?」
「えっ!何でそんなこときくんですか?」
「おられなかったらそのように答えてください」
「………いません、そんな人」
「そうですか」
医師は看護師と顔を見合わせ、何か話していた。
「あの、どうしてこんなことしたんですか?きちんと説明してください」
私がそういうと、医師は言った。
「ご家族と話してからの方がいいかと思ったんですが…」
「今言ってください」
「では、お話します……柊さん、あなたは部分的に記憶がなくなってるようです。事故の後遺症だと思われますが、すぐに思い出すときもあれば、ずっと思い出さないときもあります。」
「えっ!!」
(どういうこと……)
私は、信じられなくて混乱していた。
そこに、誰かが入ってきた。私の両親が心配そうな顔をして私に近づいてきた。
「さち、よかった…」
「お父さん、お母さん、心配かけてごめんね」
「無事でよかった…」
お母さんは泣いていた。心配かけていたという申し訳なさはあったが、部分的に記憶を失っていると知ったばかりで、微妙な気持ちだった。
「あの、先生。私は何を忘れてるんですか?」
「それは、自分で思い出した方がいいと思います。私が今言っても、記憶がついていかないとつらくなると思いますので…
柊さん、すぐに記憶が戻るかもしれませんし、様子をみてみましょう」
そう言って、先生は病室をでていった。
(私は何を忘れてるんだろう……)
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