ベクトルの向かう先

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「とりあえず、退職したらすぐに札幌で家と仕事を探す。 それまでは失業給付でどうにか生活していくから。」 自分勝手で浅はかな私の計画。 全てが勢い任せという私の言い分に、両親が首を縦に振る訳がない。 「体がこんな状態なのに一人暮らしなんて・・・。 それに仕事をしなければ生活していくのは難しいでしょう?」 「大丈夫。 全部1人で上手くやっていくから。」 「でも・・・。」 「本当にダメになりそうなら諦めて帰ってくる。 だから、それまでは私の好きなようにやらせて欲しい。」 難色を示し私を止めようとする母。 その隣で父は、ただ黙って私の話を聞いているだけだった。
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