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(非情……)
本来なら私を憎むべきところを、彼は己の目的のために、私の秘密を胸の奥底にしまっている。
その非情さは私も見習わなければならない。
不意に風が吹き、陽光が煌めく。
陽光は大剣と薙刀が照り返したものであり、風は地を蹴る足が巻き上げたものである。
両角鬼とカズマが同時に動いたのだ。
視界の半分はカズマの背で占められ、半分は肩越しに見える両角鬼の姿。
双方が一気に接近する。
カズマは戦法を変え、体全体の回転ではなく、手首によって薙刀だけを回転させる。
体全体を使う攻撃に比べれば威力は落ちるが、余分な動作が無い分スピードが増す。
鼓膜を震わせる金属音。
断続的に宙に火花が散り、カズマのブーツは泥に穴を穿つ間もなく素早くステップを踏む。
カズマの横移動によって、宙に発する火花は、壁面を覆う蔦の蕾が一斉に開花するように空間を赤く染めていく。
私が裾から足を外せるのは、薙刀の石突きが敵に向いた時、つまり腐泥門に攻撃と見なされない瞬間だけである。
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