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【カズマの視点】
俺と真紀は理想郷結界の薄い壁を通し、外をうかがう。
結界の外はオフィス街であり、血がアスファルトを濡らし、異形の足跡が点々と続いている。
チッ
唇から漏れた舌打ちは転生人に対してのものであった。
(結界内で大人しくしてりゃいいものを)
俺は肩を叩かれ、薙刀を両手に握り直す。
真紀による『進め』の合図だ。
(だが、まあ……)
俺は思い直す。
結界内をうろつくT市の刺客は鬼以上に厄介な奴らだ。
どこにいても変わらないと言えば変わらない。
「なにビビってるのよ?さっさと行きなさい。総一郎にとって今の私達は必要な人材、彼の操る鬼に集中攻撃される可能性は低い」
「それは総一郎を信じた場合だろが」
「ウダウダ言ってないで結界から出なさいよ!あんたが人間の女と同様、鬼女に手を出していなければ、いつぞやの様に私達を特定した待ち伏せなんてないわよ!なにあれ『カズマさぁぁん』って!」
「つまんねえ冗談を」
俺は厚いブーツの裏で腐泥門を蹴り、前傾姿勢となって結界を突破する。
俺の後ろではコートの裾がはためき、それに真紀が続く。
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