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月を眺めながらユウは晩酌していた。
「ユウはん、ちょっとええやろか?」
声を掛けてきたのは成実の使い魔のパンダのボールペン。
成実は、この使い魔を『師匠』と呼び、使い魔の方は成実を『みなみはん』と呼ぶ、少し変わった関係だった。
「師匠が私に用事とは珍しいですね」
「ちょっと、そこの箪笥の一番下を調べてんか」
そこには手紙の束があった。
「これは…」
「みなみはんが書いた手紙ですわ」
ユウは手紙の束を手に取る。
宛名は“ひなた様”と書かれていた。
「ひなた?」
「みなみはんの妹ですわ。狩りで両親を亡くしたみなみはんは、そりゃあひなたはんを可愛がってましてなぁ」
しみじみ話す師匠の言葉に、ユウは何故だか気持ちが揺れ動いた。
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