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レナがバスルームから出てから準備を終えるのを待ち、一緒に一階の食堂に行った。
時刻は六時半。まだ早いからか、そう混んではいない。
私とレナはクロワッサンとシーフードサラダ(朝食は軽食が多めのバイキング形式)を皿に乗せ、適当に空いている席に座る。
「あれ、早いね~」
二人で静かに食事しているとリンの声が聞こえた。私は「おはよう」と口にしていたクロワッサンを呑み込んでから返す。
「隣、座るよ~」
リンは返事を待たず私の隣に座る。リンの朝食はパスタが三種と皿いっぱいに盛られ、朝から重そう。豪快に食べ進める様子に、見ているこっちが胸焼けしてしまう。
「そういえば、今日の戦闘学で魔法の訓練やるんだよね?」
不意に、リンが思い出したように話す。
「そうだけど……リン、何かするの?」
「それじゃまるで私が問題起こすみたいじゃん……」
「違いました?」
「違うよ……ユリの意地悪ー」
試しにからかってみたら、不貞腐れたリンに頭をコツンと軽く殴られた。
「ただどんなのするのかなって。それが楽しみなだけ」
「楽しみ……ですか?」
「うん、何事も楽しまなきゃ損じゃない?机で勉強するのは別としてね」
リンは笑ってそう言うが、私はそういう風に考えたことはなかった。それが素直に羨ましく思う。
「リンは凄いね」
「そうかな?」
私は知らず知らずの内にそんな言葉を口にし、リンが少し照れた。
「そこで勉強を除くのはリンらしいけどね」
そこに不意打ちをかけるように一言付け加えると、私をまたポカポカと殴られる。それを見てエレナはクスクス笑う。端から見て仲のよさそうな、そんな風景が朝の食堂にはあった。
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