第一章 春に咲く華の物語

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レナがバスルームから出てから準備を終えるのを待ち、一緒に一階の食堂に行った。 時刻は六時半。まだ早いからか、そう混んではいない。 私とレナはクロワッサンとシーフードサラダ(朝食は軽食が多めのバイキング形式)を皿に乗せ、適当に空いている席に座る。 「あれ、早いね~」 二人で静かに食事しているとリンの声が聞こえた。私は「おはよう」と口にしていたクロワッサンを呑み込んでから返す。 「隣、座るよ~」 リンは返事を待たず私の隣に座る。リンの朝食はパスタが三種と皿いっぱいに盛られ、朝から重そう。豪快に食べ進める様子に、見ているこっちが胸焼けしてしまう。 「そういえば、今日の戦闘学で魔法の訓練やるんだよね?」 不意に、リンが思い出したように話す。 「そうだけど……リン、何かするの?」 「それじゃまるで私が問題起こすみたいじゃん……」 「違いました?」 「違うよ……ユリの意地悪ー」 試しにからかってみたら、不貞腐れたリンに頭をコツンと軽く殴られた。 「ただどんなのするのかなって。それが楽しみなだけ」 「楽しみ……ですか?」 「うん、何事も楽しまなきゃ損じゃない?机で勉強するのは別としてね」 リンは笑ってそう言うが、私はそういう風に考えたことはなかった。それが素直に羨ましく思う。 「リンは凄いね」 「そうかな?」 私は知らず知らずの内にそんな言葉を口にし、リンが少し照れた。 「そこで勉強を除くのはリンらしいけどね」 そこに不意打ちをかけるように一言付け加えると、私をまたポカポカと殴られる。それを見てエレナはクスクス笑う。端から見て仲のよさそうな、そんな風景が朝の食堂にはあった。
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