第四章 絶望と謎の交差点

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第四章 絶望と謎の交差点

2015年 7月1日 19時00分  私、六道冥は軽いため息をついた。  気持ちを悟られないようにと平然を装っていたが、心の中は不安でいっぱいだった。私には神の加護があるとはいえ、やはり一人の人間、様々な気持ちがこみ上げてくる。  特にこの狭い部屋。閉所恐怖症の私には気分が悪くなってくる。 『大丈夫ですか?』  小原幸太郎が不安そうに声をかけてきた。私はそれに対して、笑みを返す。  私は少し休もうと、近くにあった椅子に腰掛けた。 『キャッ!』  腰掛けた瞬間、腐っていたのだろうか、椅子が崩れだし、私は床に倒れこむ。 『どうしたの!?』  水野が心配そうに駆け寄ってきて言った。 『椅子に座ろうとしたら、急に崩れだして・・・、あれ?』  私は崩れた椅子の瓦礫の中から小さな本を見つけた。 『何それ・・・?』  それは白い表紙の小さな本だった。タイトルは書かれていない。恐らく、椅子の中に隠してあったのではないかと思う。何故か妙に気になった。 『おや、どうしました?』 『それが、本みたいな物が出てきて・・・』  私はそう言って、本を開いてみた。 『・・・!!』  私はすぐに本を閉じた。中には文章が書かれていた、長い長い文章。少ししか見えなかったが・・・。 『ど、どうしたの?』  水野が驚いたような表情をこちらに向ける。 『な、何でもありません。この本、詩集だったみたいで少し感動しただけです』  私はそう言うのが精一杯だった。誰にも言えない、私はそう思うばかりだった。 『大丈夫ですか?顔色が悪そうですが・・・』  気づくと小原が私を見下ろしていた。 『何か嫌なものでも見ましたか?』  小原はそう言いながら微笑む。何故か私は少しだけその笑みに恐怖を感じた。 『大丈夫です。私には神の加護があります』  私は小原に微笑み返す。今の私にはそれが精一杯だった。  焦る気持ちを押し殺して、本をポケットにしまった
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