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『結局、出口の手掛かりのかけらも無かったみたいね。これからどうする気?』
水野理子がふてぶてしい態度でそう言った。それを見て、僕はそれを見て余裕のある態度だなと思った。まあ、それは僕も同じか。
結局、僕達は何のヒントも得られず、こうして一旦集まる事にした。神とまで呼ばれていたのに空しくなってくる。
『もう一度、手分けして辺りを探るのが良いだろう。私は六道と二人で行こう。いいな、六道?』
牛島は高圧的な態度で六道に返事を促す。
『・・・ええ、私は構いませんよ』
『え?二人で行くのか?』
僕は思わずそう言った。
『何か問題があるのか?』
そう言う牛島の表情には物を言わさぬ迫力があった。それを見て、僕は何も言えなくなった。
そして、牛島は六道を連れて無言で何処かへ消えて行った。
『では、私達は別の場所を探ってみる事にしましょう』
『別の場所って、一階は僕と牛島で探したし、二階はあんた達で探したんだろう?殆ど調べたんじゃないか?』
『例の隠し部屋を調べてみるというのはどうです?新しい発見があるかもしれません。それに、神谷君も部屋を見てみたいでしょう?』
小原は得意気な笑みを浮かべながら言った。
この時僕はそう、小さな違和感を感じていた。その違和感の正体は分からない。
『水野さんもそれでいいですか?』
『私は・・・』
『今は、その事を忘れて、ここから出ることだけを考えましょう。いいですね?』
『・・・分かったわ』
何故、あんなに素直に従うのだろうと、この時思った。水野の表情を見ると、さっきとは別人のように強張っていた。
直感的に小原と何かあったんだろうと思ったが、僕は胸の内をそっと閉まいこんだ。
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