第四章 絶望と謎の交差点

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『ここが例の隠し部屋なのか?』 僕、神谷未来は辺りを見回して言った。 『ええ、そうです。この部屋のどこかに出口へのヒントが隠されているかもしれません』 小原の提案で隠し部屋を調べることになったのだが、その部屋は予想以上に狭かった。 辺りを見回して見ると、散らばっている紙切れや本棚にホコリが積もっていたりと何年も使っていないように見える・・・。 しかし、足下を見てみると床には殆どホコリが積もっていない。これはどういう事だろうか? 小原達が先ほど入ったから?いや、違う。この床のホコリの積もり方は最近、何日もかけて人が出入りしているという証拠だ。しかも何人もの人間が。 『何か見つけましたか?』 小原が話しかけてきた。その表情はどことなく喜んでみえる。 『いや、何も・・・』 僕はとっさに嘘をついた。重要な情報はあまり口に出さない方がいいと思ったからだ。 ふと、足下を見ると大量の紙切れの中にノートが埋もれていることに気づいた。 僕は拾い上げ開いてみると、ノートには埋め尽くすように数字がびっしりと全ページに書かれていた。 でたらめに数字を書いているように見えるが、これは公式を使って書かれた数学の計算式だ。 『何、そのノート?』 水野が不思議そうな表情で覗きこむ。 『数学の計算式だ。解いてみる』 僕はパラパラとページをめくる。 『どうですか?解けましたか?』 『ああ、こいつは七文字の数字を表している。だけど、こいつが何なのか分からないけどな・・・』 『これに使うのではないですか?』 小原がそう言って指差した先に、小さな金庫があった。ダイヤル式の金庫だ。 僕は無言でダイヤルを回してみた。カチカチと音を立てながら金庫はあっさりと開いた。
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