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振り返ってみると、出てきた部屋のドアに大きなプレートが張ってある。
プレートには『ゲストルーム』と書かれているようだ。
ホールを回ってみようか、そう思った次の瞬間、異様な光景があることに気がついた。
ホールの中央、それは全くピクリとも動かない、まるでマネキン人形のように一人の人間が横たわっていた。
『・・・』
一体、これは何なのだろうか?生まれて初めて見たが、これが死体という物なのだろうか?
死体かどうかは分からない。だが、横たわる目の前の人物は見たところ男のようだ。
年は二十代といったところだろうか、真っ白な白衣を身につけ、医者のような身なりをしている。
こういう場合はやはり警察に連絡するべきなのだろうが生憎、僕は携帯を持っていない。早く外に出た方がいいだろう。
周囲を見回して見ると出口だろうか、大きなドアが目に入った。
ドアを開いてみようとしたが、ドアにはノブらしきものが見当たらない。ドアを押してみたが開く気配は全くなかった。
『無駄よ。私もやってみたけど、そこは開かないわ』
突然、背後から声が聞こえた。
振り返ると、そこには背中の辺りまで伸びた長髪の黒髪、僕と同じようにどこかの学校の制服を身につけた人物がそこには立っていた。僕と同じ高校生だろうか?
『・・・君は?』
『人に物を訪ねる前にまず、自分から名乗ったらどうなの?』
目の前の女は強気な態度でそう言い放ち、冷たい目つきで僕を睨みつけた。
言い方には腹が立つが、彼女の言うことも最もだ。
『僕は神谷。十八歳だ』
『神谷?もしかして、あの神谷未来?』
『・・・君の名前は?』
『私は水野理子。年は十八』
『そうか・・・。それで、君はどうやってここに?』
『どうもこうも誰かに殴られて気づいたらここにいたのよ。お陰様で頭がズキズキと痛むわ。もしかしてあなたも?』
『まあね。それよりもあれなんだけど・・・』
僕はこいつなら何かを知っているかもしれない、と淡い期待を抱きつつ、さっきの死体をゆびさした。
『ああ、あれがどうかしたの?まさか、本物の死体とでも思ったの?』
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