第三幕 神様の子供達

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第三幕 神様の子供達

2015年 7月1日16時00分 神谷と二人で行動するようになってから正確な時間は分からないが、かれこれ一時間近く立っただろう。 あれから私達は、一階の部屋を片っ端から探索していた。 『そう言えば、まだ聞いてなかったな。何故、私と行動する気になったんだ?』  私はどうしても気になっていた疑問を神谷にぶつけた。 『あんたの・・・』 『何?』 『あんたの父に少しだけ世話になった。どうしてもそのお礼が言いたかったんだ』 『父を知っているのか?』 『ああ。昔から何かあった時はいつも助けてくれた人だ。僕が嘘つき呼ばわりされた時もかばってもらった』 『・・・』  牛島結城、それが父の名前。父は科学者の私と違い、父は数式を愛する数学者だった。正直、父とはあまり話した記憶は無いが、困った者は見捨てない、そんな性格の父だった気がする。そんな父は去年病気で他界した。 『嘘つき呼ばわりとは噂の事か?確か、数式で未来の破滅を予言したとか』  私がそう言うと、神谷は下を向き答えようとしない。 『・・・あれは本当なのか?』 『・・・』  神谷は私の質問には答えず、苦い表情を浮かべながら話し続けた。どうやら、答える気はないらしい。 『とにかく、あんたの事は聞いてたから、名前を聞いて、すぐ分かったよ』  『そうか、理由は分かった。それはそうと、気づいているか?どういう訳か、ここには世間で神と呼ばれていた奴等が集まっている。恐らく、意図的に集められたのだろうが』 『意図的に?何故、そんなことを?』 『分からない。これは私の勘だが、この場所なら私が永年探していた答えが分かるかもしれない』 『答え?』 『考えた事があるんじゃないか?何故、自分は人一倍頭が良いのか。何故自分は人と違うのか』 『・・・』 確かに僕はいつも気にしていた。 頭脳明晰と称えられ、解けない謎は無しとまで周りに言われていたが、何故神と呼ばれる程の知能が身に付いたのか、考えてきたが答えは出ない。 もし、牛島の言う通りに、この場所に僕が神と呼ばれるようになった理由が隠されていたとしたら、調べる価値があるかもしれない。 『・・・僕達が神と呼ばれた理由がもしかしたらこの場所にあるかもしれないと?』 『根拠は無いがな。しかし、興味があるだろう?』 『・・・』 そう言った瞬間、疑惑と謎だらけの場所で僕の決意が固まった気がした。
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