痕ーアトー

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痕ーアトー

そんなの嫌だ、Jを失いたくない。 そうならない為にはどうしたらいいか? 昔のように追い込まれれば傍にいてくれるだろうか? でもそんなことJは望んでいないかも知れない、じゃあ望みは何? そんなことをグルグルと思い悩んでいたからかアタシは病気になった、医者が言うにはストレスが原因だろうって。 でも直ぐさま死んでしまうような病気じゃない、適切な治療さえ続ければ生活に支障も出ないらしい。 病と闘っている人達には悪いがアタシは嬉しかった、初めて報われた気がした。 終わりが見えない道を只ひたすら歩き続けるよりは、リミットがあった方が頑張れるもんだ。 ちなみに、病気の事は親姉兄(おやきょうだい)には告げていないし、告げる気もない。 それは心配させたくないからという思いからじゃなく、何て言うかアタシにとっては家族であって家族でないからだ。 それにアタシとしては使える臓器は全て提供するつもりだし、遺りは散骨希望だから墓も無用だ。 とにかく、全てのコトから解放されたい、これで終わりにして欲しい、願いはそれだけだ。 …って何だか遺書みたいになってしまったけれど、今すぐどうこうと考えている訳じゃない。 ただ、もう無理だと思った時はリタイアしていいと赦しを得ているような気はしている。 だからもう少し、アタシ自身の望みは勿論のことJの望みも出来る限り叶えつつ生きて行くつもりだ。
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