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覚-カク-
そんなアタシ達の関係にまた少し変化が現れたのは、アタシが初体験を経て自分の欠陥に気が付いたからだ。
それは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)というやつだ。
悪戯された事、兄に虐められた事、アタシが女性じゃなければと強く思わせた数々の出来事が、女性として扱われる事に抵抗を感じさせる。
SEXともなれば必至だ。
Jもいなくなるし、まるで人形にでもなったかのような空虚感で、何やってるんだろうって気持ちが冷めてしまう。
そして行為の後はガタガタと震える。
こわばって上手く喋れないし、そもそも息が吹き掛かるほどの距離に嫌悪を感じているから、居た堪れない。
それにアタシは冷めてしまう以前に、何事に対しても熱くなれない節がある。
例え遊びであっても対人での勝負事は嫌いだし、ベストじゃなくてもベターなら現状維持という考えだ、高望みはしない。
恋人に対してもそうだ、多くを求めないし過度な期待も寄せない。
そんなだから相手にしてみれば好かれている気がしないらしく、他の人と同様に何を考えているのか解らないと距離を置かれてしまう始末。
そんな人間不信かつPTSDを抱えているアタシは、精神的にも肉体的にも他人と上手く交われない。
そう多分一生このまま、誰にも理解されず疎外感や孤独感に苛まれ続ける。
…もう生きてる意味なんて無い。
そう覚悟を決めた時、Jが言ってくれたのが
「オマエには俺がいるだろ」だ。
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