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繋-ツナグ-
J曰くいつものように引き留めただけだって言うけれど、その時のアタシにはとても深い言葉に思えた。
そう単純に独りじゃないと励まされたんじゃなく、一蓮托生…アタシが死んだらJも死んでしまうんだと。
この時からJはアタシが生きる意味になった。
そしてその後に出会ったある人のお陰もあり、アタシは少し強くなった。
孤独を寂しいとは思わなくなったし、理解されないことを嘆かなくなった。
だって誰もが多かれ少なかれ悩みを抱え、狭い世界から省かれないように自分を偽り虚勢を張って生きているんだと知ったから。
だから、アタシはアタシで自分らしく生きればいいと思った。
変わりモノだと、関わり合いになりたくないと省かれてもいい。
それでもアタシを知りたいと、知っても尚傍に居たいと思ってくれる人が本当に大事なモノだと思うから。
そんな人や同じような感覚や世界観を持つ人と出逢えたなら、またひとつ生きる意味を見出せるかも知れない。
だから書こうと思った、自分の過去を。
それが『アタシ回顧録』だ。
Jはアタシを引き留める手段の一つとして「何も遺さずに逝くのか?」ってよく言ってたけれど、消化できない思いを言葉にするのはとても難しい。
思い出す度に苦しくて窒息しそうになる。
だから何度書いて何度破棄したか判らない程に時間がかかった。
そしてアタシなりに少し勉強して解ったのは、この辛かった過去を書くという作業が治療のようなものにあたるということだ。
Jがそうと知っていて書き残すことを勧めていたのかは解らないけれど、アタシは悲しくなった。
なぜなら、治療とは意識を統合するということでJの消滅を意味するからだ。
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