四月十六日 宮市 叶絵

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想像してみる。宮市叶絵(みやいちかなえ)と言う名の女の二十四年間の人生を。スマートフォンの写真を見る限り、夫がいて子供がいて、優しそうな両親がいて幸せそうだ。きっと愛情を一心に受けて、何不自由なく育ったんだろう。 でも、そんな人間ほど非行に走りやすいのもまた事実。派手な服装をして見るからに不良と分かる連中と楽しそうに写っている写真。壁にスプレーで落書きをしてる。遊びという名の犯罪を色々と犯して、両親とぶつかって更生したのかな?今の清楚な格好を見る限り。 そして恋に堕ちて結婚して子供も生まれて、本来ならこの先にどんな人生が待ってたんだろうね。写真の夫とずっと連れ添って生きていくのかな?離婚したり再婚したりするのかな? まぁ、この先にどんな人生が待っていようと意味はない。この先の人生は僕が喰い潰してあげるから。運命ってものが本当にあるのなら、この女の人生は僕に殺されて終わるんだ。 どんなやり切れない思いをして、どんな絶望と恨みと哀しみを浮かべながら死んでくれるだろう? どんな恐怖と怒りを僕にくれるだろう? 今から本当に楽しみだ。この女をどんな風に殺してあげようか? 嗚呼楽しみすぎて興奮が止まらない。心臓がどくどく脈打って滾り始めた血を送り出しているのが、ありありと感じられる。 「強制的に起こしちゃおっか」 時間は待ってはくれない。いつ途切れるか分からないんだから。今日僕に殺される、宮市叶絵みたいに。 立ち上がり、机の引き出しを開け、中に入っているナイフを取り出す。愛用しているシースナイフとサバイバルナイフ。どっちで遊ぼうか? ごそごそと布の擦れる音が聴こえて、後ろを振り返る。あーあ、起こす前に起きちゃってるし。腕か足かを刺して悲鳴を上げさせてあげようと思ったのに、台無しだし。 まぁいいや。これから存分に楽しませてもらうから。 「おはよう、宮市叶絵さん。そしてさようなら。ナイフで切り刻まれるか、斧で一気に四肢切断か、どっちが好み?」
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