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「や……いや……死にたくない、助けて…お願い。誰にも言わないから、だから、助けて…ください」
泣きじゃくりながら助けてと懇願する。本当、無様な姿だ。無様に生にしがみつこうとして、それを踏みにじるのがどれだけ気持ちいいか。
「みーんな必ずそう言うんだよね。警察にも言わないから助けてって。そんなの信じると思う?君は僕の声を聴いて、僕の顔を見たんだ。例え逃したとしても、いつ殺されるか分からない恐怖で警察に行くだろうし。そもそも殺す事が目的なんだから、君を見逃すメリットなんて、僕にはひとっつもないんだよね。と、言う訳だからさ、僕を楽しませてよ。まぁ、君は苦痛と絶望しか味わわないけど」
首筋にナイフを這わせてみる。見るからに震えて、そんなに震えたらその震えで皮膚傷つけちゃうかもよ?
「ねぇ、君は幸せ?」
「し、幸せな訳ないでしょ!こんな目に合わされて!」
「そんな事を聴いてるんじゃないよ。今までの人生、幸せだった?結婚して子供も出来て、幸せ?」
笑顔で聴く。まぁ基本笑顔でいるんだけどね。
「……………」
「答えないのは得策じゃないと思うよ?今僕の機嫌損ねちゃったら、いらない苦痛を味わう事になると思わない?」
首筋のナイフに少し力を入れる。それだけで反抗的な光は見えなくなった。
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