14人が本棚に入れています
本棚に追加
「し、幸せよ」
「へぇ、幸せなの?本当に?」
「本当よ!なんなのこんな事聴いて!ふざけてんの!?」
「ふざけてないよ。僕は至って真面目に聴いてる。それと、幸せだなんてさ、嘘はいけないんじゃない?」
「な、なんで嘘って決めつけんのよ!」
「これ、なーんだ?」
宮市叶絵に自分のスマホを見せる。見られたくない写真を保存して、ロックを掛けておけるアプリの中に入っていた写真を。指紋認証で解除出来るようにしてたのが、今回は仇になったね。
「ちょ、嘘、何見てんの!」
「これ、旦那じゃないよね?この男と寝てるの?旦那よりは顔もいいし性格もよさそうに見えなくもないけど。幸せなくせに、別の男と寝るの?」
「あ、あんたには関係ないでしょ!!」
「そう、僕には関係ないね。君が不倫してようが。お腹の子供が誰の子だろうが。ねぇ、どっちの子なんだろうね?君はどっちの子がいいの?もし別の男の子だったら、いつかバレるんじゃないかって怯えながら暮らすのかな?」
もうすぐ臨月に入ろうかという膨らんだ腹を撫でてみる。やっぱり僕は最低のクズみたいだ。腹に別の命の宿ってるのに、その命に対してなんの感情も湧かない。
不倫の末に出来た子なら可哀想に。まぁどっちの子だろうと、母親と一緒に逝く事になるからなんの心配もいらないね。
「僕ね、不倫する人間がこの世で一番憎くて許せないんだ。一人残らず殺し尽くしたいくらいにね。女は特に憎くて仕方ない。不倫の末に出来た子供がどんな目に遭うか、考えた事ある?だからね、そんな可能性ごと殺してあげる」
最初のコメントを投稿しよう!