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岡野(な、なに、いきなりすんだよ。ちょっと、どきっとしちゃった……)
岸「私のも食べるか?」
岡野「い、いえ、なんか胸がいっぱいで」
岸「胸が?」
岡野「いえ、お腹が……」
(なんで、この人、いつもは凍るほどクールなくせに、ときどき子供っぽいんだか……心臓に悪いよ……きっと、そういうので振り回される人もいるんだろうなあ。ってところが、魔性とか?)
いろいろ考えていると、いつの間にか食べ終わってしまった。
岸「さあ、追いこみだ。今日は終電ギリギリだからな」
岡野「はいっ」
(ダメだダメだ。仕事に集中しないと……お兄ちゃんのことも探したいけど、今は仕事で手いっぱいだ)
終電の時間を気にしながらも、僕はキーボードを叩き続けた。
岸「岡野、こっちの資料はできあがっているのか?」
岡野「はい。明日の分でしたよね。さっき仕上げて、このファイルに」
岸「仕事が速くなってるな」
岡野「ありがとうございます」
(やった。ほめられた)
岸「ん?」
岡野(え?)
岸「岡野、これ間違ってるぞ」
岡野「ええっ!!」
岸「お前、あれほど注意したのに、去年のデータを使ったな」
岡野「あっ!」
さっと血の気が引いた。
注意されたから、ちゃんとよけていたつもりが、途中で間違ってしまったらしい。
岡野(どうしよう。明日の朝イチで使うやつなのに……このままじゃ、大変だ)
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