第2話

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岡野(な、なに、いきなりすんだよ。ちょっと、どきっとしちゃった……) 岸「私のも食べるか?」 岡野「い、いえ、なんか胸がいっぱいで」 岸「胸が?」 岡野「いえ、お腹が……」 (なんで、この人、いつもは凍るほどクールなくせに、ときどき子供っぽいんだか……心臓に悪いよ……きっと、そういうので振り回される人もいるんだろうなあ。ってところが、魔性とか?) いろいろ考えていると、いつの間にか食べ終わってしまった。 岸「さあ、追いこみだ。今日は終電ギリギリだからな」 岡野「はいっ」 (ダメだダメだ。仕事に集中しないと……お兄ちゃんのことも探したいけど、今は仕事で手いっぱいだ) 終電の時間を気にしながらも、僕はキーボードを叩き続けた。 岸「岡野、こっちの資料はできあがっているのか?」 岡野「はい。明日の分でしたよね。さっき仕上げて、このファイルに」 岸「仕事が速くなってるな」 岡野「ありがとうございます」 (やった。ほめられた) 岸「ん?」 岡野(え?) 岸「岡野、これ間違ってるぞ」 岡野「ええっ!!」 岸「お前、あれほど注意したのに、去年のデータを使ったな」 岡野「あっ!」 さっと血の気が引いた。 注意されたから、ちゃんとよけていたつもりが、途中で間違ってしまったらしい。 岡野(どうしよう。明日の朝イチで使うやつなのに……このままじゃ、大変だ)
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